蔵王⑤ 手打ちそば「新楽」

遠刈田温泉にある「新楽」さんを最初に訪れたのはそれこそ30年以上も前にさかのぼる。当時は今と違って木造の二階建てで「新楽食堂」と呼ばれ、地元に愛される食堂といった佇まいだった。たしか普通にラーメンやうどんやご飯ものもあったように記憶してる。

いつ頃、新しくなったのか分からないが、当時の味わいが懐かしく、久しぶりに食べてみたくなった。
あの当時から、訪れたお客さんのほとんどがあったかい鴨蕎麦を注文するぐらいに新楽の鴨蕎麦は人気だった。
蕎麦と言いつつ、うどんのような極太で噛みごたえのある蕎麦にビックリしたものだ。いい香りのする鴨の出汁が特徴的で、またコッテリとした味わいのスープは印象的だった。
当時も今もお相撲さんの手形やサインが店内に飾られている。2年前に亡くなった双羽黒こと北尾の手形も飾られていた。

さて、ここからはぶっちゃけて話すが、当時の鴨蕎麦とは違って、もう別物になってしまったような気がする。あれっ?こんな味だったっけ?というのが第一印象だった。
味の記憶って凄い。厳密に言えば臭覚であるが、食べ物を口の中に入れた時に、口から鼻に空気が移動する。その移動する空気、つまり気体に含まれる食べ物の匂いが「風味」と呼ばれる臭覚。

口に入れてから空気が移動するため、匂いと味を間違えてしまうが、この風味がおいしさの主役である。この嗅覚による記憶は長年にわたり変質することなく記憶されるらしい。
昔懐かしい味と言うのはほとんどが嗅覚で記憶されるている「風味」だったわけで、あの頃に嗅いだ鴨の出汁の風味からすると、今の鴨蕎麦は以前のものとは別物であるとオレの記憶が判断してしまったということであり非常に興味深い。

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